浩子の部屋

初動ミス

「ちょっと出直してくるわ!!」
と、今朝の10時半ごろ、受付でご立腹の中年男性。急なことで、何が何だか分からず・・・
「すみません。もうすぐ入っていただけると・・・」
「もうええ!!予約してなかったし、しゃあないわ!!」
と、不機嫌に帰って行かれました。
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いったいどれくらいお待たせしていたのか、私自身把握できず・・・
「どれくらい待ってはったん?」
と、受付担当のスタッフに尋ねると、
「いえ、よく分かってないんですが、おそらく30分くらいかと。実は、他の方の診察カードの下に保険証が重なっていて、ずっと気がつかず、ついさっき気付いてカルテを探しに行っていたところです。」
「ということは、朝早くから来られていたのに、全く気がつかなかったということやね?」
「そうです。誰がここに置いたのか、分からず・・・」
「でも、気がついた時に、すぐに患者さんに声かけしたの?」
「いえ、声はかけていません。」
「カルテ探すより先に、患者さんにミスをお詫びして、まず、すぐに入っていただくことの方が大切やね。早くお詫びして次の行動に移す・・・その誠意が伝われば、今のように怒って帰られることはないはず。初動ミスやね。それと・・・その保険証が見つかった時点で、私にすぐに伝えてくれれば、先に私が謝ることができたと思う。その時点の判断ミスがこのようになったと思うので、これから、なにかあった時はすぐに伝えてほしい。」
月曜日の朝一番は、飛び込みの患者さんや電話が多く、みんながパニクるのはよく分かりますが、今後このようなことのないよう、受付担当者全員が気をつけるように、肝に命じました。私としては、6年前に来られている近所の患者さんであり、しっかり謝ることもできなかった為、とりあえず、電話をかけてお詫びをしようと思いました。ところが、何回かけてもお留守のようです。仕事に出かけられたか、もしくは他の歯科に行かれているかであろうと思っていました。
午後になって、電話しても留守電のままでした。かなり怒っているのに「出直してくる」というソフトな言葉に、患者さんの優しさを感じ、このままではいけないと思いました。それで、お詫びの手紙を書いて、ハブラシと共に自宅に届けてもらうように、スタッフに依頼しました。留守ならば、ドアのノブにかけておくようにと。今後来ていただけなかったとしても、こちらの不手際だけは充分に謝らないといけないと思ったからです。
<手紙の内容>
本日は、早朝よりご来院いただいておりましたのに、当方の不手際で、大変お待たせし、ほんとに申し訳ございませんでした。ご立腹のこと、ごもっともと存じ上げ、心より深くお詫び申し上げます。
私共が、その時点で事情を把握しておらず、大変ご無礼を致しました。もし、またご来院いただけるようでございましたら、次回はすぐに治療させていただきます。
ご迷惑をおかけし、本当に申し訳ございませんでした。深謝
それから・・・夕刻のこと、裏方でお茶を飲んで休憩していた時、
「奥さ〜ん、今日の朝、帰ってしまわれた方が、奥さんにと言って、今来られています。」
「えっ?!わざわざ来てくれはったん??」
と、ワクワクする思いと、謝らなければという思いとで、走って行きました。
「今日は、すみませんでした。ほんとにお待たせして・・・」
「いやあ、手紙もろたから、ちょっと顔出そうと思って。」
「すぐに治療させていただきますので、このままどうぞ入ってください!!」
院長も、私のその声を聞いて、受付まで来てくれました。
「いやな、実はよそへ行って診てもろてん。でも、あんまり調子ええないわ。」
「じゃあ、すぐに診させていただきますよ。」
「いや、もう今日はええわ。でも、明日また昼に来るから、よろしゅう頼むわ。」
院長もそれを聞いて、
「そうですか。じゃあ、明日来ていただいたら、すぐに診させていただきます。わざわざ来ていただいて、ありがとうございました。」
ふ〜〜〜ぅ!!一件落着!!
受付スタッフも責任を感じていたので、ほっと胸をなでおろしました。
「奥さん、いろいろとありがとうございました。」
という言葉に、
「いい勉強になったね♪」
クレーム処理は、迅速な対応、且つ、真心を込めて!!
誠意は、やっぱり伝わる。「やったね♪」とみんなで頷き合いました。

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