浩子の部屋

移転の準備あれこれ

新しい診療所を移転開設することの大変さを、今、ほんとに身に沁みて感じます。私の想像していた何倍ものエネルギーを必要とし、そのために波及する仕事は、きりがありません。また、新しい大きな建物を建てることによる、近隣への配慮、またそれに伴って湧きあがる問題(今までは水面下に潜んでいたかのよう)が、連続で起こってきます。
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新診療所土地の東面に、昔から越境している廃屋は、民事での話し合いの結果、やっとオープンぎりぎりに解体撤去していただけることになりました。ここまで1年かかりました。自宅を新築するのと違って、何事もひとつひとつが大きなこと(問題)であり、それが何十年もの人生の集約の形で表面化してきます。順番に片付けていけばいい・・・はずですが、片付けど片付けど・・・どんどん噴き上がります。
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私に与えられた人生の課題・・・というより、自分が求めた人生の課題です。
「自分らの人生だけを考えれば、今の診療所のままで充分だ!!」
と言っていた主人の言葉が、今頃になって自分の心に響いてきます。確かにその通りです。食べるためや、老後のための資金は充分に働いて貯めてきました。大きな欲を出さなければ、ゆったりとした老後を過ごせたことでしょう。
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それが、じっとしていられない性格もあり、次世代のために自分達ができることを、でき得る限りしてやりたい・・・という思いにかられたまま・・・突っ走ってきました。
「夢を実現する!!」
という、ありきたりな言葉ですが、ほんとうに願うことを具現化していきたいのです。次世代への継承もさることながら、自分達にとって居心地のいい仕事場であり、来てくださる患者さまにとっても「ほっとする」我が家のような場所になりたい。そういうものを目指しています。
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先日、久しぶりにかかってきた神戸市の年配男性患者さんからの電話。
「ご無沙汰してます。奥さん、僕、Sですけれど覚えてくださっていますか?」
「あらっ、まあ?!久しぶりですねぇ。覚えていますよ。どうなさったんですか?」
「もうね、歯がぼろぼろになってしまって・・・放っていたんですけど、どうしようもなくて・・・近所の歯医者に行く勇気も無くて・・・ほんまにひどいんですけど、なんとかしてもらえますか?」
「まあ、そんなにひどいんですか?でも、来ていただけるのでしたら、診させていただきますから、是非いらしてくださいね。」
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そんな話をしながら、翌日の予約を取って、来ていただきました。1ヶ月前に自宅の階段でこけて、上前歯が5本グラグラになって、腫れが治まるまで放っておかれたようです。もっと、ケガをした時すぐに来られていたらよかったのですが、辛抱のいい?方で、ケガが治らないと歯医者にもかかれないと思われたのだそうです。とりあえず一番痛むところを処置して、次回に歯槽骨を手術して整形することになりました。
手術の当日、終わられてから、お声かけをしました。
「今日は大変な手術で、さぞお辛かったでしょう?!お痛みはありませんか?だいじょうぶですか?」
「ええ、先生にちゃんとしてもらって、治る見込みができて、嬉しいです。ほんとにここは、歯医者というより馴染みの“喫茶店”に来たような気分ですよ。みんなが心配して、温かく迎え入れてくれて・・・痛みより何より、ホッとしました。」
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ほんとに嬉しいお褒めの言葉をいただきました。
「喫茶店のような、温かで落ち着く、ほっとする歯医者」
私達の理想形の歯医者です。自分の家に帰ったような、安心感があり、心温まる、癒しの場所になれたら・・・というのが一番の願いです。
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オープンの日まで、まだまだ必死になってやりこなしていくしかありませんが、患者さんの「心から喜ばれる笑顔」を見ながら、またその笑顔を頭に思い浮かべながら、自分に鞭打って頑張ります。
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神様、どうぞ、試練を乗り越えられるだけの力を、私にお与えください!!
そんな気持ちの私を横目にして、我が家の主人は、ふたりで行った海外旅行の写真をパソコンで眺めて、ゆっくりと楽しんでいます。明日の仕事のために、エネルギーを充電している気がします。
その姿が、今の私にとっては一番癒されるかも・・・???・・・ふふふ
そして、着々と仕上がっていく診療所の内装。職人さんの連夜遅くまでの仕事ぶりに、ただただ感心します。
「いつも遅くまでご苦労さまで〜す。」
と、言ったら、現場監督の額田さんが出て来られて・・・
「施主さんが、遅くまでやれ!!・・・とおっしゃっているので、がんばってや〜♪」
あれあれ??いつの間にか、違う風に翻訳されている(笑)。
ユーモアあふれる言葉のなかに、なにか温かいものを感じます。(ほっ)

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