浩子の部屋

転倒による顔面打撲

「えらいことになりましたねぇ〜。大変でしたね。」
と言う院長の声が聞こえてきました。
私は、スタッフルームで雑務をしている時に、その声を聞いていたのですが・・・
しばらくして、スタッフが、保険点数の入力を見てほしいと、カルテを持ってきました。
転倒して、上前歯を損傷して、手術になったようです。
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受付に出てみると、40歳代女性で、顔は腫れ上がり、特に左眼の周りが紫色になって、眼球は出血し真っ赤になっておられました。
あまりにひどいので、私もびっくりして・・・!!
「大丈夫ですか?ほんとに大変でしたね。痛かったでしょう?」
と、言ったら、
「3日前に自転車に乗っていて転んだんですけど、土曜日だったので、どこも休みなので、ずっと寝ていたんです。」
「じゃあ、昨日は内科に行かれていたのですか?」
「いいえ、昨日まで体もしんどく(辛く)て、起きられなくて・・・
歯が、噛んだらちょっと痛むので、ご飯を食べられなくて・・・
それで、ここに来たんです。」
「そうでしたか。今日は、左上の前歯の根元が、転ばれた時の衝撃でケガになって、骨折していましたので、歯の神経をきれいに掃除して、植えかえました。今は固定してあるのですが、一応手術なので、前歯で噛まないように注意してくださいね。
それと、薬をきちんと飲んで、化膿しないように、また、粘膜保護のためにウガイをしてください。」
そんな話をしていたのですが・・・ケガがかなり深い感じなので、
「歯は、ケガの状態が完全によくなるのには、1〜2か月かかりますので、しばらく経過をみさせていただきます。それより・・・眼があまりにひどいので、すぐに眼科へ行かれた方がいいと思います。」
「そうですね。お医者さんに行こうという気持ちが起こらなかったものですから・・・。今から帰りに眼科へ寄って行こうと思っています。」
「そのほうがいいですね。よく診てもらわれた方が・・・。明日、ウチの方にも消毒に来てください。どうぞ、お大事に。気をつけて!!」
という会話でおわりました。
あんなにひどいケガをされているのに、何故医者に行かれなかったのかが、不思議なくらいです。恥ずかしかったのか、それとも気が動転されていて、何も考えられずにおられたのか、そのうち治るだろうと思われたのか・・・
大事に至らなければいいのですが・・・人ごととは思えないほど、見ていてこちらも辛いものがありました。
その後、丁度、眼科にお勤めされている女性が治療に来られたので、
「転倒して、眼科に来られる方は多いですか?」
と、お尋ねしたら、
「ええ、お年寄りの方が結構来られますよ。」
「当院の患者さんが、目のまわりが腫れて、眼球が真っ赤になっておられたんですが、大丈夫ですかしら?」
「ええ、結構腫れておられても、目のまわりには骨があるので、眼球が直接傷つくことは少ないですよ。」
「ああ、そうなんですね。眼科のことはちっともわからないものですから。ありがとうございました。」
歯が折れて来院される患者さんは、毎月平均1〜2例あります。
でも、こんなに顔面がひどいのに、内科に行かれずに歯科に来られた方は、珍しいです。
時間が経過しているので、大事に至らなければいいな・・・と、願うような気持ちです。
一般的に、こういう事故や事件みたいなものは、自分に何か気付きを与える為にやってくるものです。よく「後悔先に立たず」とは言いますが、「あの時、気を付けていればよかった」と後悔する必要もありません。もう過ぎてしまった過去であり、時間を戻すことはできないのだから、現状を素直に受け止め、自分自身の心に受け入れる余裕が必要なのです。
その後、自分がどう対処していけばいいのか・・・を考えて行動し始めると、いろんな人が周りから助けてくださいます。それが、自分を取り巻く運命であり、自分を助けてくれる最強の味方(ブレーン)なんですよ。
人に助けられながら生きていることを実感し、その意義を感じたら、必ず、どこかで、世の中のために「お返し」をすればいいんです。助けていただいたその人でなくても、自分ができる時に誰かにお返ししてください。そういう循環が必要なんです。
人に奉仕をしたら、必ず、回り回って、自分にも戻ってくるのですから。
「輪廻転生」・・・エネルギーの循環ですね。
「高き」ものは、「低き」に流れる。「低き」にいたものは、その間にエネルギーを蓄積して、また「高き」山を乗り越えていきことができる。
今回のケガされた女性にも、いろんな気づきがもたらされることを願っています。
エネルギーは、ただいま、遷移状態にあり・・・ですね。

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