浩子の部屋

日本口臭学会第5回学術大会

8年前に口鼻臭臨床研究会が立ち上がって以降、日本口臭学会に格上げして、第5回目を迎えました。今年の学術大会は、東大阪市の近畿大学にて開催されました。今までは、東京、札幌、福岡、京都、横浜に行ってきました。内容も次第に詳細になっていき、大学関係者の参加も増えて、会員数も約300名になってきました。

ほんだ歯科提携クリニックのEBAC会員であり、10年前からお付き合いさせていただいている先生方は、懐かしい友に会うかのように、本田先生の門下生、あるいは兄弟弟子として、本当に仲良くさせていただいているのが、何より嬉しいことです。皆さん、奉仕の精神と優しさと向学心を持った、志の素晴らしい方ばかりです。会うことだけでも、毎回刺激をいただきます。

初日の朝、近畿大学の広いキャンパス内で、皆さんの久しぶりの笑顔にお会いでき、嬉しいひとときです。出会った先生方と早速に記念撮影します。ほんとに心根のいい方ばかりですので、年齢差に関係なく、同窓会のような気分でいられるのが、ステキです!!

会場入り口では、ほんだ歯科の顔馴染みのスタッフさん達が出迎えてくださいました。ここで、明日のお弁当券をいただいて、2階の会場に上がります。2階フロアでは、口臭に関係する様々な歯科業界の方が出展されていました。顔見知りの方も多く、挨拶させていただきながら、また、他の先生と挨拶を交わしながら、会場入りします。


2階会場ドア前には、今回のお世話をしてくださっている、理事の先生方(EBAC会員)が集まっていらっしゃいました。ほんとは、私もここに居て、皆さんのお手伝いをしないといけなかったのですが、ちょっとここに書けない学会の裏事情がありまして、お役を辞退させていただいたのです。先生方、私事で本当に申し訳ありません。

今日はゆっくりと講演を聴かせていただきます。その前に、今回から始まる日本口臭学会・認定医制度のための、認定医受験資格を取るために、本年を含む最低3年の会員歴と、2回の学会参加証明と、2回の教育講演受講証明が必要となります。その説明から始まりました。もう67歳にもなる主人が、今更認定医をもらったところで・・・という思いもありますが、せっかくの機会をいただいたのですから、受験させていただこうということになりました。

津野先生の、書類提出のためのわかりやすい説明を聴いてから、早速に、学会出席の自己申告書類を提出。

あとは、本日の第一回目の教育講演を受講します。岡山大学の予防歯科学分野教授・森田学先生の「硫化水素が歯周組織に及ぼす影響」という演題で、動物実験モデルを用いて、硫化水素(H2S)の骨に及ぼす影響を調べられた結果を詳細に発表してくださいました。

歯科の先生方は、ちょっとわかり辛い?と思いますが、口臭の主なガスの実験結果はとても興味深いものでした。遠い昔に、生物化学研究所で、ニトロソアミン(基=N-N=O)の発癌性実験をしていた頃を思い出しました。

地道な実験の繰り返しによる、しっかりとした実験結果を残すという、研究者の陰ながらの日々の努力の積み重ね。この結果をふまえて、「長」となる方がそれをまとめ、考察する。陰なる化学者の「ひたむきさ」を痛感します。

お昼休憩は、学生食堂に並びます。なんか懐かしいなあ~♪

しかも安い!!きつねうどんが1杯190円です。それに、おかずが選びたい放題なので、主人も喜んで、さばの煮付けやキムチ炒めなどをチョイス。大勢の学生さんが居る中、爺や婆が混じって、嬉しそうにいただいております。東京から来られた近藤先生一家とご一緒させていただきました。

午後は、近畿大学薬学部教授・松田秀秋先生の基調講演「漢方医学に学ぶ口臭治療素材の探索研究」です。日々、大阪の学生さん相手にお話されているので、とても大阪らしい「おもろいトーク」で、午睡しないように、わかりやすく・興味深く・面白く講演していただきました。

「私も変わり者ですけど、本田先生も変わり者ですよね。その変わり者同志が、ああでもない・こうでもないとかけ合いながら、口臭に悩む患者さんのためにやってまいりました。
本田先生を変わり者やないと思う人があったら、手を挙げてください。・・・ほら、誰も手を挙げないでしょ?!」(笑)

出る杭は打たれるけれど、出すぎた杭は打たれない。

これは、以前、歯周病学会等からつまはじき?されていた、変わり者の本田先生の格言です。
いまや、「口臭症の父」というべき人物です。

その後、10分ずつの一般演題が11題も続きました。頭を使って疲れたので、主人と帰宅しようと思ったのですが、呼び出しの張り紙を見つけました。何事かと思ったら、日本口臭学会の今年度会費が振り込まれていないということでした。学術大会の費用に含まれていると思っていたので、それは私の勘違いでした。えらいこっちゃ~~っ!!(嘆き)

津野先生が、「クレジットカードで払ったら、すぐに入金できますよ。」と教えてくださったのですが、その会場では、学会HPからは振込みができませんでした。それで、家に帰ってから、ネットでもう一度チャレンジしてみました。すると・・・あっという間にうまく入金できました。今年の認定医試験の受験資格は、無事にゲットできました。(ほっ)

翌日は、「シンポジウム」から始まりました。「口臭と口臭症への取り組み~現状と課題~」として、5人の先生方や企業の方がそれぞれの分野でお話していただきました。

その中で、体臭をご専門とされる五味先生のお話は、とても興味深く、別の項目でまたUPします。口臭症は医科(特に耳鼻科)と歯科との連携が必要であり、器質的疾患がない場合は、心療内科的カウンセリングやサポートも不可欠である。この視野に立って、これからの口臭学会の未来を考えていただきたいと願います。

最後の教育講演は、漢方がご専門の大阪歯科大学教授・王宝禮先生の「口臭を漢方医学の視点から考える」でした。
① 「病気は何故おこるのか?」
それは、日頃の生活習慣に、様々なストレスや経験が度重なって、やがて不定愁訴になっていく。つまり、交感神経と副交感神経の状態がアンバランスだと病気になる。
② 現代医学の目指すものは、脱ステロイド、脱向精神薬、脱抗がん剤である。
③ 漢方医学は、患者さんの心に入って、一緒に改善していくことを目的としている。
④ 漢方薬は、医科との連携を図り、血液検査をしてから処方するのが原則である。

東洋医学的発想から、表面的な対症療法ではなく、病気の原因を追究して、芯から良くするための「薬」であることを示唆していただきました。

ただ、仕事上、歯科医は「完治」を目指しますが、内科医は「改善」を目指します。それで、薬に対する考えの違いが現れます。つまり、歯科医は、1回で当たるもの出そうとしますが、内科医は、薬が当たるまで、ず~っと出し続けます。そして、「寛解」(いい状態を保つ)となるように経過を診ていきます。

今回、様々な分野の先生方の講演を聴き、口臭というよりも、口の機能や口から全身の健康を考えるという、もっと広い視野に立って日々の診療に携わることが必要だと、今更ながら、深く考えさせられました。そして、歯科や耳鼻科や口腔内科、さらに一般内科や心療内科までの全てが重なった領域が、日本口臭学会であると思いました。

医科歯科に  虹の架け橋  口臭症

帰り際、難波の551蓬莱にて、ビールと冷麺で一息つきました。
(やれやれ)

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