浩子の部屋

北区学校保健協議会保健大会2012

大阪市北区学校保健協議会の総会ならびに保健大会が、大阪市立菅北小学校で開催されました。今年は「食育」に焦点をあてた研究成果の発表や講演が行われました。2005年食育基本法が成立し、2009年学校給食法が改正されて、「食育とは何か?!」を先生・生徒・保護者のみんなが理解していく必要性があるということでした。

講演は、武庫川女子大学・生活環境部・食物栄養学科教授の蓬田(よもぎだ)健太郎先生が、「食育とは何か ~ヒトの成長のしくみから その必要性を理解する~」と題して、約1時間お話してくださいました。蓬田先生は東北大学医学部卒ですが、お父さん(医師)も、食育という概念が未だ曖昧だったころから、「食育」の考え方を推進されていたそうです。

食育とは何か?
  正しい食習慣、日本文化の継承、お箸の持ち方、お米を食べよう・・・等々。

ヒトは何故食べるのか?
・おなかがすいたから・・・空腹(本能)
・おいしそうだから・・・・欲求(学習)
・楽しいから・・・・・・・コミュニケーション
・イライラするから・・・・精神的な安定

Foods becomes us!
(いい食べ物を食べるといい人になる、悪い食べ物を食べると悪い人になる)

ヒトの成長の特殊性をよく考える!
霊長類であるチンパンジーとヒトの遺伝子の違いは、たったの1.23%です。
人間同士の個人差はもっと僅かの0.1%。

ヒトと他の哺乳類との違い
①妊娠期が体の大きさに比べ比較的長い
アフリカゾウ640日、牛284日、ライオン108日、ウサギ33日、ヒト280日
霊長類はヒトとよく似ています・・・
チンパンジー227日、ゴリラ257日、オラウータン267日

②授乳期が短い
ゴリラ3年、チンパンジー5年、オラウータン7年
離乳と同時に大人と同じ食事になる

③脳みそがズバ抜けて大きい
 ゴリラ  出生時250㏄→4歳までに大人と同じレベル500㏄
 ヒト   出生時375㏄→1歳までに2倍、離乳後~5歳で5倍(大人の90%)
      つまり、5歳以下の子供は、摂取エネルギーの40~85%を脳の発育に使う!!

④離乳期・子供期・思春期がある
牛乳は栄養があって良いとよく言われますが、いったい何を育てるのでしょうか??
もちろん、牛を育てるのに適しています。脂質とカゼイン(タンパク質)は、体を大きくするものであって、ヒトにとっては脂質が多すぎるのです。ヒトには、脱脂粉乳の方があっています。

母乳が良いのは、「脳を育てる!」からです。脳の発育とエネルギー源である「乳糖」の含有量がとても多いのです。ところが、ここに問題があります。他の霊長類は母乳を何年も授乳していけるのですが、ヒトの赤ちゃんは生後6か月頃から、母乳だけでは脳の発育には付いていけないのです。ヒトは、脳が育ってから体が育ちます。つまり、第一次成長と第二次成長に分かれています。

第一次成長=胎児期~幼児期=脳の発育
第二次性徴=思春期=身体の成長

⑤寿命が長い
ヒトの子育ては親だけでは対応困難ですので、共同での育児・教育の必要があります。祖父母のサポートがないとできないため、つまり、孫の面倒を見るために、寿命の延長が必要になりました。ただし、50年くらい前までは、食育は不要でした。何故か・・・?
その土地で採れた季節のものをいただいていたからです。

サザエさんの家庭は、ちゃぶ台があって、家族みんな揃ってご飯を食べるのが、1969年の放送開始以来変わっていません。もちろん、この42年間、年齢も一緒です。そして、ケンタッキーも、マクドナルドも、ミスタードーナッツも、カップヌードルも登場しません。そして、コンビニもありませんよね。昔のまんまのの世界です。

現在は、そのサザエさんの時代のような地域社会が崩壊し、家庭機能まで変化してきました。食べるものの変化に伴い、子供の体格は良くなったが体力が低下、成人病症状・貧血・骨折の増加という傾向がみられるようになり、食育の重要性が見直されてきました。

食育の原点
「体育・智育・才育は即ち食育なり」

人間の体の中で、エネルギー代謝が多いのが、「脳」と「心臓」です。また、充分なエネルギー代謝をするためには、「血糖」と「酸素」が必要です。
・よく噛んでゆっくり食べると・・・血糖値が早く上がって、早く満腹になる
・よく噛まずに早く食べると・・・血糖値がだらだらと高くなり、食べすぎる

ホルモンからみると、
・活動時・・・アドレナリンによる動員
・空腹時・・・グルカゴンによる動員
・就寝時・・・成長ホルモンによる動員
つまり、 「寝る子は育つ!=早寝・早起き・朝ごはん!」

子供は、早くご飯を食べさせて、早く寝ることが大切。朝食を食べないと筋肉がおちて、疲れやすくなる。幼児のおやつは、成長のためのエネルギー補給であり、より良い材料を食べることが重要です。また、第二次成長期には、ミネラルやビタミンの豊富な良い材料を充分に摂り、運動刺激も必要です。

ビタミン類やミネラルは、是非、食事から摂ってください。サプリメントの栄養は、一時しのぎの非常食であり、ネズミによる実験では、子供がどんどん死んでいってしまいます。

食事は、コミュニケーションの場であり、楽しい思いをすることや、美味しく「味わう」ことが重要です。

「明日の体をつくるのは、今日の食事!!」


食育は、子供たちの心の成長にも関わってきます。生活のリズムをきちんとし、家事などの手伝いをさせて、物事の流れを理解させることが、机上の勉強よりも大切なことです。より良い材料のものを食べ、健康的な生活をしていきましょうね~。

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